炎症性腸疾患

Ulcerative colitis

炎症性腸疾患とは

何らかの免疫異常を背景に、主に腸管に炎症が生じる慢性疾患を、炎症性腸疾患といいます。主に「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」などがあります。どちらも食生活の欧米化などから、急速に患者数が増加しています。しかし残念ながら、原因が究明されておらず、あらゆる治療を行っても基本的に根治させることは難しい病気です。
しかし、適切な治療で治癒に近い状態(寛解状態)にすることは可能です。また、これらの疾患は厚労省が難病指定を行っていて、医療費の補助を受けることができます。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、若年者から高齢者まで幅広くみられる、大腸粘膜にびらんや潰瘍を起こす病気です。主な症状は繰り返す粘血便(粘液と血液が混じる便)、です。検査方法には、血液検査や便培養、大腸内視鏡検査などを用いますが、感染性腸炎との鑑別が重要になります。治療には5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)、ステロイド、免疫調整薬、生物製剤(抗TNF-α製剤)などの薬が用いられます。多くの場合、症状を落ち着かせることができますが、この病気は、急に再燃することがあります。このため症状のない寛解期であっても、5-ASA製剤含めた治療の継続が必要です。さらに、発症後7-8年をすぎると大腸がんのリスクもあり、定期的な大腸内視鏡検査によるスクリーニングが重要となります。

クローン病

クローン病

クローン病は、口から肛門までの消化管、すなわち食べ物の通る道に慢性の炎症を起こす病気ですが、多くは小腸や大腸に起こります。発症は10代後半から20代の若い人に多く見られます。クローン病では、消化管の壁の内側から外側まで全層性に炎症を起こし、深い潰瘍を作り、狭窄や瘻孔(消化管と消化管、消化管と腹壁や肛門のまわりの皮膚などにできてしまったトンネルのようなもので、肛門の周りにできると痔瘻と呼びます)などが起こります。

主な症状は腹痛・下痢・肛門病変(痔瘻や肛門周囲膿瘍;肛門のまわりに膿が溜まったりします)などです。肛門病変をきっかけに診断されることもしばしばあります。
診断は大腸、小腸の内視鏡検査や造影検査、上部内視鏡検査、組織検査から行われます。治療には、5-ASA製剤、ステロイド、免疫調節剤、栄養療法と生物製剤があります。新しく登場した生物学的製剤(抗TNF-α製剤)により、クローン病のかたの生活の質が劇的に改善される方が多くみられるようになりました。さらにヒト型抗IL-12/23p40モノクローナル抗体製剤や副作用の少ないステロイド薬も登場してきています。ただし、診断も治療も難しい疾患です。院長は長年炎症性腸疾患の診療に携わっておりました。豊富な経験と知識を基に患者さん一人一人に合った治療を選択していきたいと考えていますので、お気軽に相談してください。